米国軟着陸 #31
渡米1ヶ月ちょっと、初の人前で準備された演奏がなんと教会。ゴスペルだ。
初めてバスに乗りGlenmontを目指す。
事の発端はストリートバスキング初日にスカウトされた事。(#24参照)
こんなマンガみたいな流れ、そりゃ何だってやるわ。
バスキング用ドラムをガラガラ引きずって、降りる停留所を間違えたり、運転手に降りますブザーをシカトされたりしながら35分の道のりを1時間、教会到着。
前日に送られてきた曲目を確認しようとApple musicで探すも歴史の長いゴスペル、カバーだらけでどれが正解かわからない。
もういいや、日本でも超反応と歌心のみでやってきたんだ、なんとかなるわ。
と、ほぼぶっつけ本番。(昨日のリハ、サウンドチェック5分で終了したため)
時間になるとワラワラと人々が集まってくる。
なんだか見たことある雰囲気や人々の光景・・・
・・・。
あ!「天使にラブソングを」だ!
そして30代の渡米の何が良かったか、完全に初めての異文化シチュエーションにも関わらず全く緊張しない。むしろワクワクして、嬉しくてたまらない。見るからに腹にアンプ入ってそうな黒人のご婦人コーラス隊と、キーボードボーカルMr.Hinneh、ラルフマクドナルドそっくりのコンガのおじさん、BBkingみたいなギターのおじさん。
そもそも、日本人が教会でゴスペルってめちゃ珍しくない?
何がなんだかわからないうちにMe.Hinnehのカウントで曲目はグイグイ進む。数曲やり、牧師さん?がスピーチ、また数曲・・・の繰り返し。
歌、すごい。すごい。すごい。
特にMr.Hinnehの生声。今まで聴いたことない声量。
だってオフマイクで数十人のコーラス隊+割と爆音の楽器隊に居ながら、声が飛び出てくるんやで・・・。人間ってこんな声出せるんだ・・・。
ショッカーで手術して2000wのJBLかなんか身体に入ってない?
とか思った。
すごい、すごい、すごすぎて、すごいコーラスの渦中でリズムを産み出している自分をいつもの鷹の目で眺める。
あまりに初めてのシチュエーションなので、客観性を持つまでに4曲くらいかかったが、音の塊がストンと自分に落ちてきた瞬間、涙が少し。
音楽を愛して、良かった。
太古から日本人に自然と寄り添う仏教を内包しているであろう私からすると、神は万物に宿るとして、例えキリストさんであろうとも神は宿るわけで、おそらく私は仏教徒であると公言の上、教会ギグに混ぜてもらってきた。
— ウエダテツヤ (@UEDAGYM) 2018年5月20日
キリスト教+仏教のミクスチャーゴスペル爆誕。
アーメン法蓮華経、アリなんだね! pic.twitter.com/fyUgDbZjz8
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終了後はケータリング。
チキン、臭くて美味い。ミートボール、辛い美味い。ライス、虫の卵みたい。オレンジジュース、薬みたいな味。
これは・・・アメリカ味や・・・
「ドラマーに!ドラマーに!」って続々とおばちゃん達が食べ物持ってくる。
ありがたく全部いただく。
お腹いっぱいで片付けていたところにチビが駆け寄ってきた。
なんかこんな小さな子供も適当に叩いたリズムがうねってるように感じる。末恐ろしい・・・。
ひとしきり邪魔されて、スティック返してって言ったら泣かれたのであげた。
将来、テリリンキャリントンみたいなドラマーになったら、俺の事を語るんだぞ。
帰り際、俺の手に今日頑張ったで賞を手渡しながらMr.Hinnehが言う。
明日暇?明日も来て!
Oh! もちろんくるさ!暇だからね!
ただし、起こしてね!と、家路につく。明日はスーツ着て行こう。
なんて日だ。生きててよかった。
つづく